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3. 本年度の作業報告

3.1 進入着陸施設に関するICAOの動向

ICAOの将来の航空航法システム(FANS:Future Air Navigation System)委員会において決議された、将来の航空交通量に対処するための新概念、いわゆるC.N.S(通信/航法/監視)コンセプトに基づく、全地球的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用した新着陸システムの導入についての検討がICAOの全地球的航法衛星システムパネル(GNSSP)を中心に進められている。民間航空においては、GNSSを、単に洋上空域や国内の航空路用の航法として利用するだけでなく、民間航空機のターミナル、非精密進入及び精密進入着陸への適用のための検討を積極的に推進したいとしている。
これは、新技術の導入による安全性が高く、高度な航空機の運航が可能となることにより、飛行経路、飛行時間の短縮、柔軟性のあるルート選定等による経済性効果が期待されることによるところがおおきい。
1995年3月から4月に?CAO本部において開催された特別通信運航部会(SPCOM/OPS/95)において決議された「ILS/MLS移行計画の修正」、「ILS、MLS、GNSS」に関する国際標準及び勧告方式(SARPs)、いわゆるマルチ・スタンダードへの移行という状況変化により、我が国においては、地域計画を十分勘案したうえで我が国として最も適した着陸システムについての検討を進めている。

3.1.1 ICAO全地球的航法衛星システムパネル(GNSSP)ワーキング・グループ会議(8年9月)

3.1.1.1 はじめに
9月16日(月)から9月27日(金)まで、米国ニュージャージィ州アトランティック・シティのトランプカシノワールド国際会議場において?CAO全地球的航法衛星システムパネル(GNSSP)ワーキング・グループA,B,C,D会議が開催された。以下はその概要について報告する。この会議は、GNSSの民間航空への適用に関する国際標準及びガイダンスマテリアルの策定を主な作業目標としており、今年の2月から3月までにかけて日本の名古屋国際会議場で開催されたワーキング・グループA,B,C,D会議に引き続き実施された。開会初日のプレナリーセッションではFAAのアソシエイト・アドミニストレーターのジョージドナヒュー氏がFAAを代表し開催の歓迎スピーチを述べた。
アトランティック・シティーは、FAAのテクニカルセンターがあることで、良く知られているが、会議の第2週目にはFAAのWAASのテストシステム(NSTB)を使用し実際にカテゴリー?精密進入のデモフライトが行われた。このデモには、FAA及びカナダ運輸省の飛行検査機及びインマルサットが参加、協力して実施された。会議参加者は、それぞれ2機に分かれて搭乗し、実際に静止衛星からの補強信号により高度200フィートまで正確に誘導されることを体験した。

 

 

 

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